神風特攻隊のパイロットは本当に「かわいそう」だったのだろうか?

今回の記事のタイトルは随分と刺激的になっていると自分でも思う。

ただボクとしては将来の日本のために自らの身を犠牲にした特攻隊のパイロットを侮辱するためにこんなタイトルをつけたわけではない。
なのでそこだけはぜひ誤解をしないようにしてほしい。

さて、今回の記事のテーマは「特攻隊のパイロットの人生は本当にかわいそうなものであったのか?」である。

この「かわいそう」と言う表現はマイナスのイメージを代表して使っているので別に「大変」「無念」「不本意」という表現に言い換えてもらっても構わない。

いつの時代であってもその時代を生き抜く若者は必死だ。
それは特攻隊というものが生まれた終戦直前の日本でなくても同様のことが言えるだろう。

もちろん令和時代を生きる現代の若者だって毎日を頑張って生きているとボクは思う。
こんな暗い時代に生まれて、社会にはブラック企業だらけで、さぞかし「大変な」毎日を過ごしていることだろう。

そう。今回の記事は
現代の若者vs神風特攻隊のパイロット
どちらが本当に大変なのか?という比較を試みる記事なのだ。

「現代の若者」と「特攻隊のパイロット」は似ている!

なぜボクが神風特攻隊のパイロットと現在の若者を比較しようと思ったのか?
それはこの2つの時代の若者たちが置かれた状況には様々な共通点があると感じるからだ。

もちろん、そうは言っても戦時中と平和な現代では大きく異なる点はいくつもある。

しかしながら起きている社会現象が非常に似ているわけだ。
詳しく見ていくことにしよう。

まず第一の共通点は
「社会全体を覆う空気が暗い」ということだ。

高齢な世代であればあるほど戦争というワードに強い嫌悪感を持っているもので、こんなことを書くとお年寄りから
「戦時中であれば社会の空気が暗くなるのは当然だろう!」
「戦争している時に楽しい空気など流れるはずがないじゃないか!」

とお叱りを受けそうだが、実際は違う。

戦争中にも楽しい時期と暗い時期があるのだ。

日本は確かに終戦末期には国家総動員法などの法整備がされ、国民の生活も非常に困窮したものになった。
食べものを手に入れることもできず、ひもじい思いをした人たちが国中にあふれている。

非常に暗い時代。暗黒時代と言ってもいいくらいのものだろう。
そしてこれがいわゆる日本人の持っている「戦争」のイメージだと思う。

じゃあ逆に戦争に勝っている時はどうだったのだろうか?
日本は日清戦争でも、日露戦争でも勝利を収めている。

大国ロシアに勝ったというのに喜ばないわけがない。
当然だが当時は日本全国に明るい空気が流れていたはずである。

そもそも日本がアメリカと勝ち目のない戦争に向かったのは国民全体が高揚して調子づいてしまったから、という分析はよく聞く話だ。
戦争中に暗い空気が流れたのは実際には終戦間際のわずかな期間であり、真珠湾攻撃成功くらいまでは日本全国どこも戦争ブームに沸いていたのだろう。

そしてこの傾向は平和な現代に照らし合わせても同じことが言える。

「平和な時代であればいつも楽しい空気が流れているか?」というとそうではないことは現代を生きるボクたちは身に染みて理解しているはずだ。

そりゃあ高度経済成長期〜バブルのころを生きた人たちは楽しかっただろう。
高揚感があり希望に満ち溢れた日々を送っていたのだろうなぁ、と彼らの話を聞いているとそう思えるのだ。

しかし今の世の中はどうだろう?
まるで終戦末期のような悲壮感あふれる空気が日本を覆っているのは間違いない。

そう。
平和な時代であっても、社会に楽しい空気が流れる時もあれば暗い空気が流れる時だってあるのだ。
疲弊している。疲れているという社会状況において、現代の日本と終戦末期の日本は同じ状況に立っているのである。

覚醒剤と抗うつ剤の類似性

第二の共通点について話そう。
それは社会に適応するために薬物を使用する若者である。
どういうことかわかるだろうか?

戦時中に使われていた薬物といえば、すぐに思い浮かぶのは覚醒剤だろう。
いわゆるヒロポンだ。

争うこと、敵を殺すことを常に求められる戦時中の社会において精神状態を正常に保つことは並大抵のことではない。
なんせ「私は敵国の兵隊を殺します!」と言える人間こそが正常とされるほどに殺伐とした世の中なわけだ。

「アメリカ人にだって良いところがありますよ」なんて言葉を言えばきっと非国民と罵られるに違いない。
常に殺気立った戦闘モードをキープできる人しか生きてはいけない世の中だった、ということは想像に難くない。

もちろん、全ての日本人が覚醒剤を使っていたわけではないのだろうが、覚醒剤を使わなければ社会に適応できない「精神力の弱い人」はその多くがクスリに助けを求めていたのだと想像することは容易だ。

翻って今の日本人はどうだろう?
非常にストレスフルな社会生活の中でいつの間にやらうつ病などという言葉が出てくるようになってきた。

閉鎖的な職場の空気、人手不足、働け!というプレッシャー。
これらに負ける「精神力の弱い人」は抗うつ剤を飲んででも働き続けなければならないわけだ。

ストレスをなくすために抗うつ剤で感情を平坦にする。
それが現代の日本で「精神力の弱い人」が生きのびる術なのである。
飲まなければ精神が崩壊して自殺する羽目になるわけだから。

ボクが考えるに、覚醒剤も抗うつ剤も同じである。
精神、というか脳に作用するクスリを使わなければ成り立たない社会などというのはそもそもがおかしいのだ。
そんな社会が存在すること自体が悪であり、早急に崩壊させなければならないのだと感じる。

少し脱線になるが、日本社会のおかしいところは個人が会社/社会に対して文句をいうことを許さない点である。

本来ならば会社/社会がおかしい場合には社会に圧力をかけて社会を変える
そして個人がおかしい場合には個人に圧力をかけて個人を変えることが正しいアプローチなのにそれができない。

結果、全ての問題が個人の責任にすり替えられてしまって、社会はいつまでたっても改善されない。

つまり日本人の特性というのは個人に問題があるケースでは非常にうまく作用するが、その反対に社会に問題があるケースでは全くもって機能しない、ということだ。

本当は個人に問題はなく社会に問題があるのに、全てを個人の責任に転嫁してしまった先に覚醒剤や抗うつ剤の蔓延が社会現象として現れている。

つまり彼らこそがクスリを使い、脳の仕組みを変えてでもこの異常な社会に溶け込もうと努力する最大の被害者に他ならないのである。

特攻隊パイロットの人生は現代の若者ほど大変な人生ではない

さて終戦末期の日本と現代の日本の類似性を2つの点から指摘してきたわけだが、ここでついに
神風特攻隊のパイロットvs現代の若者

いや、少しだけ題目を変えて
神風特攻隊のパイロットvs抗うつ剤を飲んで自殺する現代の若者

のどちらがかわいそうであるのか?ということに対してのボクの意見を言っていきたいと思う。

終戦末期と現代日本。この2つの時代に生きる日本人はどちらも非常に大変でストレスフルな時代に生まれている。
しかしボクの個人的な意見では現代の若者の方に軍配があがると思う。

つまり現代の若者の方が大変だ、ということだ。

こういうことを言うと「じゃあお前は戦争中に生まれたかったの?ウソつけ」などと言われそうだが、ボクは冷静に考えて戦時中の末期に生まれた方が人生は幸せだと思う。

もちろん、これは極端な比較だ。
そもそも
戦時中の若者みんなが神風特攻隊のパイロットであったわけではないし、現代の若者みんなが抗うつ剤を飲んで自殺しているわけでもないわけだから話半分に聞いて欲しいところではあるわけだが。

神風特攻隊のパイロットと抗うつ剤を飲んでいる現代の若者は社会の犠牲者という意味では両方ともが非常に大変である。

しかし大変さのベクトルが真逆なのだ。
どういうことか?

特攻隊のパイロットは
・戦争中に
・社会に必要とされ
・使命感をもって
・殉死した

わけである。

しかし現代の若者は
・平和な時代に
・社会に不必要の烙印を押され
・絶望感をもって
・自殺する

わけである。

誰かに必要とされて、死にたくはないけど死ななければならなかった特攻隊員。
誰からも必要とされず、自分で死にたいと思い自殺することを決める現代の若者。
この2つの生き様は全く逆のベクトルを向いてはいるが、その実両方が絶望的に悲劇的だ。

神風特攻隊の総殉死者数は4000人程度だそうだ。
そして現代日本では毎年20000人程度が自殺しているのである。

神風特攻隊で殉死した人たちは英霊と呼ばれ語り継がれていくのだろうが、現代日本の自殺者は将来なんと言われるのだろうか?
やはり犬死にだろうか?

単純比較はできない。それはもちろんだ。
もしかしたらただボクは現代の社会状況に対して皮肉が言いたいだけなのかもしれない。

それでもボクは抗うつ剤を飲んで自殺するくらいなら誰かのために自分の命を捨てる生き方の方を選びたいと思ってしまうのだ。

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yusan

ホーチミン在住7年。元ベトナム語通訳です。日本で働くベトナム人に質の高い教育を施してあげたい。日本に良い人材を送りこみたいという気持ちで教育事業を行なっている日本語教育のプロです。ベトナム人材についてのご相談はボクのメールに直接どうぞ。

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