「世界を救いたい症候群」にかかっている日本人

最近ボクの住んでいる東南アジアにボランティアで来る日本人が増えている。
これって日本はもう救う場所がなくなっちゃったから、外国にまで出張してるのかな?

カンボジアに学校をたてるだとか、ベトナムに井戸を掘るだとか、そんなプロジェクトに参加してる日本人の若者をボクはよく目にする。
日本人には「困っている人を救ってあげたい!」、という気持ちを美徳とする文化があるように感じるが、その表現方法まで近年のグローバル化を受けてか、活動範囲を広げているということなのだろう。
昔は日本に困っている人がまだまだたくさんいたので国内需要のみで成り立っていたのが、現在ではより世界的な目線で人々を救いたい、という志が芽生えてきた、という風潮なのだろうか。

タイトルにもあるようにボクは「日本は世界を救いたい症候群にかかっている」と感じるのだが、その根拠とそこから見える問題とは何か?について手短に説明をしてみることとする。

テレビゲームをしたことがあるだろうか?
テレビゲームの世界にはRPGと呼ばれる自身が主人公となってゲームの世界を飛び回るタイプのゲームがある。
ドラゴンクエストに代表されるジャンル、といえば知っている人にとっては通りが良いのだが、このRPGというジャンルのゲームは日本の中では非常にメジャーである。
この種のゲームを遊んだり、また外国のゲームをしたりすることもあるボクが気づいたポイントが一つあるのだが、それは日本のゲームはみな「世界を救うために」旅立つという共通点を持っているということだ。
これは日本のゲームに固有の世界観である。
日本人の脳内にはとにかく大変な目にあわされている世界観が常に存在して、その大変な世界からその世界の住人を救うために旅立ちたい欲求があるのだ。
ゲームの世界では魔法をつかったり、魔王と戦ったり、手段こそ複雑化しているが本質は一つ。
全ては世界を救いたい願望が日本人の本質に存在することが起点となっている。
これこそが私が日本人は世界を救いたい症候群にかかっているとする根拠である。

さてそんな世界を救いたい潜在欲求を内包する日本人が世界に目を向けた際に表面化している事象こそが冒頭で述べた途上国に対するボランティアな訳だが、これが実際にベトナムという途上国で7年以上生活しているボクにとっては少々の違和感を感じるものとなっている。

世界幸福度指数というものがある。
自分の生活がどのくらい幸せかということを指標化したものなのだが、日本は非常にこの数値が低いことを知っている人も多いだろう。
実際にボク自身、日本へ帰るたびに不幸な高齢者や若者の問題をニュースで見聞きするたびに強い不幸を感じるのだ。
そしてこの感覚はどうも海外で生活している日本人が一様に感じている共通認識となっているようにも見えるのだ。

これをただの主観として片付けることは簡単だが、それよりもこの事象についてより深く洞察する方が実際的に得策だろう。
なぜそう感じるのか?その答えはボクの住むベトナムに存在している。
ベトナム人の多くは日本よりもはるかに幸せそうに人生を謳歌しているからだ。

つまりボクの言いたいことは途上国を救う前に、もっと近いところにある問題の解決策を出すことが先決ではないか、ということだ。
「就職活動が有利になるから」などという邪な理由で海外ボランティアに参加するような輩には馬耳東風だろうが、人を助けたいという気持ちが原動力となっているタイプの人間にはぜひ聞いて欲しい話である。

途上国の人間は多くの人が思っているほど不幸ではないし、ましてや彼らは現地にローカライズされた情報を理解できない日本人の救いなどは求めていない。
問題はいつももっと近いところにあるもので、現在の日本は大変な目にあわされている人が相当に増えている。
日本の不幸度は世界でも指折りのレベルに達しているのだ。
海外で生活していると「日本でダメだから外国へというレベルの人間は海外では通用しない」というフレーズをよく耳にする。
ボランティア精神を持つ方々にはぜひとも日本をまず平和にしてして欲しい。
その結果と能力を持って海外に出てきて欲しいとボクは願うのである。
「倒すべきボス」は海外より日本の方がたぶん巨大だ。

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yusan

ホーチミン在住8年。元ベトナム語通訳です。 もともとはベトナム人材関係の仕事をしていたんだけど、現在はコロナのせいで失業中。 良い仕事があったら紹介してください😷

4 thoughts on “「世界を救いたい症候群」にかかっている日本人

  1. まるむし

    灯台下暗しってやつですね。海外で活動する方が何か凄そうと思われて海外志向ってのもありそうですね。

    返信
    1. yusan 投稿作成者

      しばらくブログを見てなかったらコメントが。
      まるむしさん、コメントありがとうございます。
      そうですねー。
      「なんかすごいことしてそう感」のために海外まで出てきている日本人が多いかもしれませんね。
      本当は日本のいろんな問題を解決してほしいんですけどね

      返信

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